ホラクラシーで素早い意思決定を実践ーー若手CxO”イマドキの”経営術・scouty CTO 伊藤氏

 

前回からの続き。同世代を駆け抜ける若きCxOたちが今、何を想って経営に取り組むのか。本稿では主に20代を中心に今、国内で伸び盛りのスタートアップ経営陣に目を向け、経営手法や悩み、そのスタイルを切り取ってお伝えします。初回のdely共同創業者、執行役員CTOの大竹雅登氏からバトンを受け取ったのはscouty取締役CTOの伊藤勝梧氏です。(太字の質問は全て筆者。回答は伊藤氏)

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伊藤さんは創業時ではあるものの、ワンテンポ遅れてscoutyに参加されているんですよね

伊藤:2016年11月に3人目の社員として、また1人目のエンジニアとして入社しました(編集部注:scoutyの設立は2016年5月)。入社時の肩書はリードエンジニアで、役員でもありませんでした。

技術責任者(CTO)にはどういう経緯で

伊藤:当時からプロフェッショナルな人材だけで会社を構成していくという方針だったので、後から自分よりも適した人材が入社したら彼にCTOをお願いしようというスタンスでした。

しかし1年弱3人だけでずっとやっていたこともあり、企業の文化を理解している人間の方が良いと言う判断で、2018年7月から私が取締役CTOを担当することになりました。

企業文化の理解は重要です。具体的にはどういう役割分担をされているのでしょうか

伊藤:今、責任を持っている部分は主に開発内容の優先順位付けと開発の組織づくり(採用含む)の2点です。ビジネス的に価値を高める新規機能開発と技術的負債の返済を比較して、優先度を決めるのは開発経験者でないと難しい部分が多く、ビジネスと開発の橋渡しをすることが多いです。

組織づくりは具体的にどういう方針で取り組まれてますか

伊藤:これは開発組織に限った話ではないのですが、scoutyではホラクラシー組織というティール組織の1つである組織体系を採用しています。

従来のヒエラルキー型の組織体系と比べると、ホラクラシー組織では従来ヒエラルキー構造の末端を担っていた人材に適切な権限を与え、彼らが自分で意思決定をできるような組織体系になっています。権限の範囲では解決できない大きな課題は上層にエスカレーションされる仕組みです。

社会全体がより複雑になってきている今、一番鮮度の高い情報に接している人間に判断を任せ、より早くより正確に意思決定ができる組織を作っていくことが成功への近道だと感じています。

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Image Credit : scouty web site

ホラクラシーやティールなどの組織論は理想的である一方、個人の資質に関わる部分も大きく導入には難しい印象があります。ホラクラシーを採用している組織の場合、メンバーとして参加する方にはどういう基準を設けてるんですか

伊藤:scoutyの採用ポリシーとしては「社内にない経験や知見を持っていること」「社内の平均よりも高い能力を持っていること」を掲げています。そして、それを満たすプロフェッショナル集団に対して、各自の得意分野に十分な権限を渡すことで強い組織を作っていこうと考えています。

ところで伊藤さんは京都大学卒業後、早々に今の事業に参加されました。マネジメント経験や社会人的な経験が浅い状態でどうしてこのような手法を採用するようになったのでしょうか

伊藤:まず前提としてここは私個人のマネジメントのスタイルというよりは、会社の方針として、社内にない経験・知識を持った人のみを採用するというスタンスがあったことの影響が大きいです。

従来の組織であればCTOが技術的な最終決定権を持っていたりしますが、うちの場合にはそれよりもデータベースエンジニア出身のメンバーにDB設計の最終決定権をもたせたほうが良いし、前職でインフラのテックリードをやっていたメンバーにインフラ構成の最終決定権を渡したほうが良い、という状況が自然と出来あがっており、各メンバーに十分な権限を渡す組織体系の方がうまくワークする状況になっていました。

なるほど。従来的なヒエラルキーで出来上がった組織に突然ホラクラシー理論を導入するとハレーションを起こす場合があると聞きますが、初期からこういう方針であれば可能性は高まりますね。ちなみにホラクラシー組織だと個人裁量の考え方がかなり異なると聞きますが、実際どのようにマネジメントをしているのでしょうか

伊藤:私自身マネジメントの経験はなかったのですが、新卒で入ったフルリモートワークをしている企業の働き方が今のマネジメント方針の核になっていると感じています。

前職の特徴として、リモートだと何をしているのか詳細にはわからないので、お互いを信用する性善説で仕事をする、パフォーマンスで結果を語る、パフォーマンスが出るならパワーナップ(短い昼寝)する等なにしてもOK、というようなものがありました。

リモートワーク経験は性善説や個人裁量の大きい働き方に役立ちそうです

伊藤:その環境がとても働きやすかったこともあり、今はマイクロマネジメントをすることはほとんどありません。1on1でも普段の業務で障害になっていることはないかを確認してひたすらそれを取り除き、メンバーがベストパフォーマンスで働くためにどう自分が貢献できるのかを考えながら動くようにしています。

マネジメントに関して1冊おすすめの本をいうならば「エンジニアのためのマネジメントキャリアパス」です。

確かに毎日顔合わせているのに、リモートワーク以上にコミュニケーションないパターンもありそうですから、対面するしない関わらず、細かいコミュニケーションを意識するのは大切ですよね。他の役員とのコミュニケーションはいかがでしょうか

伊藤:ホラクラシー組織の特性上、文面上ですべて誰がどういう権限や責務を持つのか明記されているので、役員の間でもCEOだから…CTOだから…と肩書で語ることはないです。

考え方の違いで意見が衝突することも時々ありますが、意思決定者が明確であるため役員全員が合意しなければ先に進めないということもなく、そのような時でも素早く意思決定ができていると思います。

創業初期の3人だけだった頃は毎日夕飯を一緒に食べに行ってコミュニケーションをしていたのですが、最近は労働時間も短くなってそうもいかなくなり、今は金曜日に役員ランチということでコミュニケーションをしています。ここでは自分の役職に関係なく、会社全般のことやプライベートのことなど、ざっくばらんに話をしています。

そんなホラクラシーを採用している少し変わった組織ですが、プロフェッショナルなメンバーと一緒に世の中のミスマッチをなくしていきたい方はぜひ私達と一緒に働きましょう!

ありがとうございました。では次の若手経営者にバトンをお渡しします。

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